1.はじめに
皆さんこんにちは!OFF TIME Sandboxの管理人です!
モバイルバッテリーを買おうとして、レビュー記事やYouTubeの解説動画を色々探した経験はありませんか?自分は何度もあります。そして厄介なことに、現代は種類が多すぎて、また選ぶための基準は人それぞれですので、参考になる記事や動画が見つからない。充電できる対象、一度に充電できる機器の数、大きさ、重量などなど。総合的に考えてどのモバイルバッテリーを選ぶのかを簡単に求めることができるような指標でもあればな… 。自分は常にこう考えておりました。
そこで今回は新指標を導入してみました!試しに自分が所有しているおすすめのモバイルバッテリーである「CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS」を含むいくつかのモバイルバッテリーを比較しながら、新指標、そしてこのモバイルバッテリーのすごさを見ていきたいと思います。
まずはCIOの半固体電池である「SMARTCOBY TRIO 67W SS」をレビューしていきます。初めに簡単に概要からです。見た目はこんな感じ。

上図は正面から見た画像です。非常にシンプルな見た目でロゴだけが表示されています。

このモバイルバッテリーは小さな液晶が表示されていて、今の充電容量が記載されています。充電したり、されたりするとこの値はリアルタイムで変化していきます。
67W給電が可能なため、PCなどの充電も可能になってきます。
2.CIOというブランドについて
株式会社CIO(シーアイオー、Connect International One)は、2017年1月に大阪府守口市で設立された、モバイルバッテリーやACアダプタなどのモバイル周辺機器を専門に手がけるメーカーです。
自社工場を持たない「ファブレスメーカー」で、企画・設計は自社で行い、製造は現地工場に委託するスタイルを取っています。2018年12月には「SuperMobileCharger」シリーズ、2019年11月には今回取り上げる「SMARTCOBY」シリーズを立ち上げました。
特徴的なのは、新製品の多くをクラウドファンディングで試作・先行販売してから一般発売するという開発スタイルと、公式YouTubeでファンと積極的に交流する姿勢です。大手ブランドほどの知名度はまだありませんが、ユーザーの声を拾いながら尖った製品を出してくるメーカーだと言えます。
3.SMARTCOBY TRIO 67W SSの基本スペック
今回レビューする「SMARTCOBY TRIO 67W SS」は、CIOの主力シリーズ「SMARTCOBY」の中でも、後述する半固体系電池を採用した最新モデルです。
– 容量:20,000mAh(77.4Wh)
– ポート構成:USB Type-C × 2、USB Type-A × 1(3台同時充電対応)
– 最大出力:単ポート最大67W
– サイズ:約95 × 69 × 29.5mm
– 重量(公式スペック):約355g
77.4Whという容量は、国際線・国内線どちらも機内持ち込みが可能な「100Wh以下」の基準にきっちり収まっているのもポイントです。
4.半固体電池とは?
今回の製品最大の特徴が、この「半固体系電池」です。聞き慣れない言葉だと思うので簡単に解説します。
一般的なリチウムイオン電池は、電極の間でイオンを移動させるために「液体電解質」を使っています。この液体電解質は可燃性が高く、モバイルバッテリーが発火する事故の主な原因の一つになっています。
半固体電池は、この電解質をゲル状・スラリー状の「半固体」に置き換えたものです(液体電解質の含有率はおおむね5〜20%程度)。電解質が漏れにくく、外部からの衝撃にも強いため、熱暴走(発火)のリスクを大きく低減できます。エネルギー密度は従来の液体電解質のリチウムイオン電池と同等程度を保てるため、小型・軽量なままで安全性だけを底上げできるのが利点です。
なお、電解質を完全に固体化した「全固体電池」という、より新しい技術も存在します。半固体電池は全固体電池に比べてイオン伝導度が高く、現行のリチウムイオン電池の製造設備を流用しやすいため、より早く量産・実用化しやすいという特徴があります。つまり半固体電池は、「全固体電池への橋渡し的な、現実的に量産できる安全性強化技術」と位置づけられます。
5.モバイルバッテリー選びに、なぜ新指標が必要なのか
今回はモバイルバッテリーを定量評価していきたいと思います。近年モバイルバッテリーは進化が目覚ましく、品種も大幅に増えた影響で、家電量販店に行ってもスマホでレビューを調べたらYouTubeでレビュー動画を検索してしまいます。そこで言及される内容としては
– 「サイズが小さく、持ち運びしやすい」
– 「出力が○○に対応している、またType-Cポートがいくつあるから利便性が高い!」
といったものが多いように思います。これはそのままなので問題ないと言えば問題ない(実際に知りたい情報は大きさと何を充電可能かという情報がメインである)のですが、モバイルバッテリーの形は色々あり、3辺の長さがあまり変わらないものから一つだけが極端に大きいもの(薄っぺらいが最大面積で言うと大きいもの)まで様々です。皆さんのカバン事情、ポーチ事情によって最適なモバイルバッテリーが異なるはずです。また、何が充電できるのか(出力W数)なども人によって異なります。そういった部分が異なるのであればそれ以外の仕様のモバイルバッテリーは排除できますが、問題はここです。
「○○が充電できる充電器が欲しくて、A、B、Cをリストアップしたけど、最終的な決め手が見つからない…」
こういった状況ってないですか?自分の事情(出力や形、大きさ、重量)をリストアップしてもモバイルバッテリーの数が多すぎて一つに定まらない…。こういう時に何か比較できる指標の一つでもあったらな…。自分はこう考えることが多く、今回のブログはSandbox的なモバイルバッテリー比較のための新指標を作成してみました。
6.モバイルバッテリーの購入に際して考慮すること
モバイルバッテリ―を買う場合に、一番気にすることは体積、重量、給電能力とコストだと考えています。体積や重量を大きくすれば給電能力が大きくなる一方で持ち運びは困難になっていきます。携帯性も追加で要求するとコストが大きくなっていきます。そこでSandboxは以下のような指標を提案します!
【Sandbox Indexモデル】
$$S = \alpha \left( \frac{C_{wh}}{W} \cdot \frac{P_{w}}{V} \cdot \frac{1}{T} \times k_1 \right) + (1-\alpha) \left( C_{cost} \times k_2 \right)$$
\(C_{wh}\) : 容量(Wh)
\(W\) : 重量(g)
\(P_{w}\) : 最大出力(W)
\(V\) : 体積(\({cm}^3\))
\(T\) : 厚み(cm)※3辺の最小値
\(C_{cost}\) : コスパ(容量Wh ÷ 価格)
\(\alpha\) : 持ち運び重視度(今回は0.2, 0.5, 0.8の3パターンで比較)
\(k_1 = 4000\) / \(k_2 = 10000\) (読者が見やすい「100前後のスコア」に調整するための係数)
7.この指標の何が優れているのか?
この数式、パッと見ると難しく感じるかもしれませんが、やっていることはとてもシンプルかつ合理的です。特に優れているポイントは以下の2点です。
1. 「薄さ」を重要視している点
第1項の最後に厚み\(T\)の逆数\(\frac{1}{T}\)を掛けています。いくら体積\(V\)が小さくても、サイコロのように分厚い形状だとカバンやポーチの中でかさばりますよね。このモデルでは「いかに薄く持ち運びやすいか」が直接スコアに影響するように設計しています。
2. 自分の価値観(コスパ vs 機動力)に合わせて調整できる点
人によって「とにかく安く済ませたい(コスパ重視)」のか、「高くてもいいから小さくて高出力なものが欲しい(機動力重視)」のかは異なります。係数\(\alpha\)を変えることで、あなたの価値観に合わせた最適なスコアを炙り出すことができます。
8.いざ検証!競合モデルとCIOのスコアを比較
それでは、今回の主役である「CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS」と、同クラス(20000mAh / 60W以上出力)の強力なライバル3機種をこの数式に当てはめてみましょう。
- CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS (67W / 約355g / 約8,980円)
- Anker Power Bank Built-In USB-C (65W / 約430g / 約8,990円)
- MOTTERU MB20001 (60W / 約350g / 約7,990円)
- UGREEN Nexode 130W (100W / 約480g / 約9,980円)
※価格は執筆時点のものです。モバイルバッテリーはセールでの変動が大きいカテゴリなので、購入前に最新価格を確認してください。
計算に使用した生データ
Sandbox Indexは「ブラックボックスなスコア」にしたくないので、計算に使った生データもすべて公開します。研究と同じで、根拠が見えないと信頼できないですよね。
| 製品名 | 容量\(C_{wh}\)(Wh) | 重量\(W\)(g) | 最大出力\(P_w\)(W) | 体積\(V\)(cm³) | 厚み\(T\)(cm) | 価格(円) |
| CIO TRIO 67W SS | 77.4 | 355 | 67 | 193.4 | 2.95 | 8980 |
| Anker Power Bank | 72 | 430 | 65 | 304.0 | 2.6 | 8990 |
| MOTTERU MB20001 | 72.0 | 350 | 60 | 217.5 | 2.5 | 7990 |
| UGREEN Nexode | 72.0 | 480 | 100 | 360.8 | 5.1 | 9980 |
容量\(C_{wh}\)の内訳は以下の通りです。
– CIO:公式スペックに77.4Whと明記
– MOTTERU:公式スペックに72Whと明記
– Anker:公式にはWh表記がないため、20,000mAh × セル公称電圧3.6V ÷ 1000 = 72Whとして概算
– UGREEN:公式にはWh表記がないが、仕様欄に「20000mAh(4×5000mAh)」と記載があり、5000mAhのセルを4本直列接続した構成と推測できる。直列4本なら電圧は3.6V×4=14.4Vになるため、5,000mAh × 14.4V ÷ 1000 = 72Whとして概算
体積\(V\)・厚み\(T\)は各社公式サイトに掲載されている外形寸法(縦×横×厚み)から算出し、厚みは3辺のうち最も短い辺を採用しています。
これらを計算した【Sandbox Indexスコア】がこちらです!
| 製品名 | α=0.2 (コスパ重視) | α=0.5 (バランス型) | α=0.8 (機動力・スペック重視) |
| CIO TRIO 67W SS | 89.4 | 94.3 | 99.2 |
| Anker Power Bank | 75.1 | 67.6 | 60.1 |
| MOTTERU MB20001 | 90.2 | 90.5 | 90.7 |
| UGREEN Nexode | 64.2 | 52.4 | 40.5 |
9.結果から見える「あなたにピッタリのモデル」
見事に製品のキャラクターが数値として表れました。この結果から、状況に応じてどのモデルが向いているかが見えてきます。
- カバンを軽くしたい、機動力重視の人 (\(\alpha\)=0.8) は「CIO」一択!「半固体電池」を採用し、名刺サイズにまでスペックを凝縮したCIOの圧勝です。1位のCIO99.2、2位のMOTTERU90.7で8ポイント差でした。体積が小さく高出力、というSandbox Indexの「機動力」を測る項目において、この製品の右に出るものはありません。カバンの中身を極限までコンパクトにしたい方には間違いなくCIOがおすすめです。
- バランスタイプの人 (\(\alpha\)=0.5) は「CIO」が優位!94.3とMOTTERU(90.5)に4ポイントほどの差をつけて上回っています。コスパとスペックの両方をそれぞれ同程度重視する場合でも、CIOを選んでおけば間違いなさそうです。
- お財布に優しく、日常使いの軽さを求める人 (\(\alpha\)=0.2) は…実はここが一番の見どころで、順位が入れ替わります。MOTTERU(90.2)がCIO(89.4)をわずかに上回りました。ただし、その差は0.8ポイント。体積や厚みの数値が1mm変わるだけでひっくり返る程度の差なので、正直なところ「この2機種は実質互角」と言うのが実態に近いと思います。
面白いのは、この逆転がどこで起きるかを計算で特定できることです。CIOとMOTTERUのスコアはどちらもαの1次関数なので、2本の直線の交点を解くと、**α ≈ 0.25 が分かれ目**だと分かります。つまり「価格を7割以上重視する人はMOTTERU、それ以外はCIO」というのが、今回の比較から言える結論です。星評価だとこういう言い方はできません。「MOTTERUは星4.3、CIOは星4.5」と書いたところで、あなたがどちら側の人間なのかは分からないからです。αという形で重視度を明示できると、こういう条件つきの答えが出せるようになります。
- AnkerとUGREENのスコアが低い理由は?Ankerは「ケーブル内蔵」、UGREENは「100W出力とスマートディスプレイ搭載」という素晴らしい機能を持っています。しかし、そのギミックの代償として「体積」と「厚み」が増加しているため、純粋な携帯性とコスパを測るこのスコアでは不利になりました。つまり、「スコアに表れない利便性(ケーブルを持ち歩きたくない)やロマン(ディスプレイ表示が見たい)」を求めるなら、この2機種を選ぶべきだと言えます。
10.このモデルの限界と、今後の改善ポイント
Sandbox Indexは便利な指標ですが、正直にいくつか課題も認識しています。
– 厚み\(T\)を体積\(V\)と別に掛けている点:厚みは体積の構成要素の一つなので、数学的には二重に評価していることになります。ただ、鞄やポーチへの収まりやすさは「体積そのもの」より「一番薄い辺」に強く依存すると考え、あえて厚みを追加で重み付けしています。今後は体積の代わりに設置面積(縦×横)を使い、厚みの重複を解消したバージョンも検討したいです。
– \(k_1\)・\(k_2\)は今回の4機種に合わせて調整した固定値である点:今後のモバイルバッテリー記事でもこのバージョンの定数をそのまま使い続けることで、記事をまたいだスコア比較ができるようにしていきます。
– 僅差の勝負では、測定誤差がそのまま結論を左右しうる点:α=0.2でのCIOとMOTTERUの差は0.8ポイントしかなく、体積・厚みの数値が1mm変わるだけで順位が入れ替わる可能性があります。今回のように僅差の場合は、「僅差でA」ではなく「実質互角」と正直に書くのがフェアだと考えています。
こういった限界も含めて、今後もこのSandbox Indexは育てていく予定です。
11.おわりに
いかがでしたでしょうか?
「色々リストアップしたけど、最後の決め手がない…」という時に、今回のような定量的なスコアがあると、自分の目的に合ったモデルがグッと選びやすくなるのではないでしょうか。
当ブログ「OFF TIME Sandbox」では、今後も色々なガジェットに対して、このように新たな指標を提案し、ロジカルに比較していきたいと考えています。
「ここをもっとこう計算した方が実態に近いのでは?」「この変数を足してみては?」など、指標に関するアイデアやご意見がありましたら、ぜひコメント欄で教えてください!皆さんと一緒に、最強のガジェット評価モデルを作り上げていけたら嬉しいです。
それでは、次回の記事でお会いしましょう!


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