はじめに
この記事を書こうと思ったきっかけは、[07記事](../07_CIO_NovaPort_DUO2/リライト案.md)でレビューしたCIO「NovaPort DUO II 67W」を購入したときの、ふとした驚きでした。
久しぶりにAC充電器を新調したのですが、手に取った瞬間「こんなに小さくなったのか」と素直に驚いたんです。しばらく買い替えていなかった分、進化のスピードを実感として飛び越えて味わう形になりました。
そこから、「一体どういう技術的な変遷を経て、こんな劇的な進化を遂げたんだろう」と気になり始めました。正直、数年前と比較しても、今のモバイルバッテリーやAC充電器の選択肢の広さは異常なレベルだと思います。せっかく手元に世代の違う充電器が揃っているので、この機会に技術の変遷を定量的に振り返ってみることにしました。
自分の手元には、購入時期が異なる3台のAC充電器があります。
– SANWA SUPPLY「ACA-PD58BK」(2018年12月28日発表)
– Century「AC65PD」(2021年10月14日発売、約2年前にコンビニで購入)
– CIO「NovaPort DUO II 67W」(2024年10月11日発売)
たまたま3台とも約3年おきに手に入れたものだったので、これを並べて実測し、AC充電器がこの6年間でどう進化してきたのかを定量的に振り返ってみたいと思います。

左から順に「SANWA SUPPLY「ACA-PD58BK」」、「Century「AC65PD」」。「CIO「NovaPort DUO II 67W」」と並んでいます。すごいサイズの違いですよね…。
3台のスペック比較
| 製品名 | 発表/発売日 | 最大出力 | サイズ |
| SANWA SUPPLY ACA-PD58BK | 2018-12-28 | 45W | 35×54×72mm |
| Century AC65PD | 2021-10-14 | 18W | 55×53.1×32mm |
| CIO NovaPort DUO II 67W | 2024-10-11 | 67W | 50×40×29mm |
| 体積 | 重量 | ポート構成 | GaN |
| 136.1 | 150 | USB-C×1 | なし |
| 93.3 | 120 | USB-C×1、USB-A×1 | あり |
| 58.0 | 104 | USB-C×2 | あり |
電力密度で見る進化:6年で約3.5倍
単純な「W数」の比較だけでは、小型化の凄さは見えてきません。そこで「体積あたり何W出せるか(電力密度、W/cm³)」を計算してみます。
$$\text{電力密度} = \frac{\text{最大出力}(W)}{\text{体積}(cm^3)}$$
| 製品名 | 電力密度(W/cm³) | 2018年比 |
| SANWA SUPPLY ACA-PD58BK(2018) | 0.33 | 1.0 |
| Century AC65PD(2021) | 0.7 | 2.1 |
| CIO NovaPort DUO II 67W(2024) | 1.16 | 3.5 |
わずか6年で、同じ体積からおよそ3.5倍の電力を取り出せるようになった計算です。特に2018→2021年の3年間だけで2倍以上に伸びており、この期間にGaN(窒化ガリウム)採用が急速に進んだことと符合します。
GaN採用のタイミングと符合する結果
[07記事](../07_CIO_NovaPort_DUO2/リライト案.md)で解説した通り、GaNは従来のシリコン半導体より熱伝導率が高く放熱性に優れているため、同じ出力でも発熱を抑えながら本体を大幅に小型化できる技術です。
手元の3台で見ると、GaNを採用していない2018年のSANWA SUPPLYから、GaNを採用した2021年のCenturyへの切り替わりのタイミングで、電力密度が最も大きく伸びています(0.33→0.70、約2.1倍)。その後2021→2024年の伸び(0.70→1.16、約1.7倍)は、GaN同士でのさらなる最適化・小型化によるものと考えられます。実物の重量・体積の変化が、技術解説の内容をそのまま裏付ける結果になりました。
それぞれの充電器にまつわる思い出
正直、SANWA SUPPLYのものについては、どんな経緯で手に入れたのか記憶が定かではありません。
一方でCenturyのものはよく覚えています。研究室で使うAC充電器が欲しくて、近くのコンビニで買いました。コンビニでAC充電器が買えること自体がありがたかったですし、65W出力なのでノートPCも含めてほとんどのものを充電できる安心感がありました。ただ、USB-Cポートが1つしかないので、複数台を同時に充電したいときの使い勝手はあまり良くなかった記憶があります。
まとめ
6年分のデータを並べてみて、正直なところ「単純な小型化・大出力化の競争は、そろそろ終盤に差し掛かっているのではないか」と感じています。
代わりに進んでいるのは、商品ラインナップの多様化です。以前記事で取り扱ったAnker Nano Charging Station(7-in-1)はまさにその代表例で、出力状況を表示するディスプレイまで搭載されています。正直、充電器にディスプレイは必須ではないですよね(笑)。それでも各社がこうした付加機能を積み増してくるのは、「小型化・高出力化」という軸だけではもう差別化しきれなくなってきている裏返しなのだと思います。
半固体電池やGaNのような技術的ブレイクスルーがまた起きれば話は変わるかもしれませんが、正直、今の充電器に対して「これ以上何が必要なのか」という需要自体、自分には見当がつきません。
次回予告
次回は少し趣向を変えて、自分のデスク環境全体を1枚の写真で紹介する回にしようと思います。それでは、次回の記事でお会いしましょう!


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