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デスクの上にコンセントが無い問題を解決する|Anker Nano Charging Station(7-in-1, 100W)レビュー

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はじめに:デスクの上に、コンセントが一つも無い

デスク環境を整えていくと、必ずどこかでぶつかる壁があります。電源です。

自分の場合は、デスクの上にコンセントを一つも用意しておりませんでした。壁のコンセントはデスクから離れた場所にあり、そこから延長コードを引っ張ってくると、今度は配線が床を這うことになります。床にタップを転がしておくのも嫌でした。掃除のたびに動かすことになりますし、何より見た目が良くない。

また、家電量販店で売っている一般的な電源タップは、正直デザインが野暮ったいものが多いです。せっかくデスクの雰囲気を作っているのに、そこだけ生活感が出てしまう。

「デスクの上に、見た目を崩さずに電源を持ってきたい」

調べてみると、この課題を解決してくれる製品は、実はいくつも存在します。ACコンセントとUSBポートを1台にまとめた、卓上向けの充電ステーションと呼ばれるジャンルです。自分は長いことこの手の製品を探したことが無く、液晶ディスプレイ付きの充電ハブなど見たこともありませんでしたので、家電量販店で見つけたときは驚いた記憶があります。

ただ、選択肢があると分かった途端に、次の問題が出てきます。「どれを選べばいいのか」、です。

先に結論を書いておきます。壁のコンセントがデスクから離れている人は、ケーブルで距離を稼げるタイプを選ぶべきです。逆に壁際にデスクを置いている人は、コンセントに直接挿すタイプの方が、場所を取らず効率的です。 この記事は、なぜそう言い切れるのかを、実際に3機種を比較しながら説明していく記事になります。

そしてその比較のために、今回は新しい評価指標を作りました。自分が求めていたのは「とにかく大出力」ではありません。卓上で必要な電力は100Wを超えないからです。必要だったのは出力の大きさではなく、1台でどれだけ多彩な機器に対応できるかという柔軟性でした。その柔軟性をどう測るか、というのが今回の主題です。

この製品を選んだ3つの理由

– ① 見た目の近未来感:黒でマットな質感、出力状況をリアルタイム表示するディスプレイ搭載で、デスク環境のコンセプト「サイバーウォーム」を体現する存在でした。

– ② 実は100W級の出力を常時必要としていない:スマホ(Google Pixel 9a)とNothing Ear(3)はBelkinの2-in-1充電器で充電しており、そのBelkin自体はこのAnker Nanoのコンセントから電源を取っています。USB側はiBasso DX180、Lumix S9、I-O DATA製17.3インチポータブルモニターのいずれかへの給電がメインで、正直なところ4ポート同時に使ったことはまだありません。

– ③ 背面のACコンセント3口による自由度:卓上照明や、上記のBelkin充電器への給電など、USBでは対応できない機器にも電源を回せる柔軟性が便利だと感じました。

②は重要で、前回のNovaPortで「3ポート同時に使ったことがない」と分かったのと同じ構図です。生スペック(100W・4ポート同時稼働)ではなく、実際に評価しているのは「これ1台でどれだけ多彩な機器に対応できるか」という柔軟性でした。

モジュール分離主義を初めて崩した話

もともと充電系の製品は、ACアダプタとケーブルを可能な限りセパレートにすることを意識してきました。どちらかが壊れても、その部分だけ買い替えればまた使えるからです。しかし今回、初めて内蔵巻き取りケーブル付きの製品を選びました。利便性はもちろんですが、「1万円程度なら、仮に巻き取りケーブルの部分が壊れて買い替えることになっても許せる」という価格的な納得感も、この例外を許した理由でした。

Anker Nano Charging Station(7-in-1, 100W)の基本スペック

– サイズ:約121 × 73 × 53mm(体積 約468.2cm³)

– 重量:約570g

– ポート構成:ACコンセント×3、USB-C×3(うち2本は巻取り式ケーブル、約1.5m)、USB-A×1(合計7-in-1)

– 出力:USB-C単ポート最大100W。複数ポート使用時は分配(67W+33W、50W+50Wなど)。USB-A最大12W

– その他:出力状況・温度をリアルタイム表示するディスプレイ搭載

– 価格:9,990円(税込)

ここから指標の話に入りますが、そもそもなぜ星評価ではなく自作の数式を使うのか、これまでどんな指標を作ってきたのかは、[ガジェットレビューの星評価は、なぜ自分に当てはまらないのか|Sandbox Indexという考え方](ハブ記事のURL)にまとめています。先にそちらを読んでいただくと、この先の話がより分かりやすくなると思います。

ガジェットレビューの星評価は、なぜ自分に当てはまらないのか|Sandbox Indexという考え方
皆さんこんにちは!OFF TIME Sandboxの管理人です!今回はいつもと趣向を変えて、このブログで使っている独自の評価指標「Sandbox Index」そのものについて解説していきます。個別の製品レビューではなく、その土台にある考え方...

多様性指数とは?:新指標の理論的支柱

今回の主役は「多様性指数」という、もともと生態学で使われてきた概念です。「ある地域にどれだけ多様な生物種が、バランス良く存在しているか」を測るための指標を、そのまま「ポートの種類(AC・USB-C・USB-A)が、どれだけバランス良く揃っているか」に転用します。

シャノン多様性指数

$$H = -\sum p_i \ln p_i$$

\(p_i\)は各ポート種類の構成比です。対数を使うため、少数派の種類の存在にも敏感に反応します。

シンプソン多様性指数

$$D = 1 – \sum p_i^2$$

「ランダムに2つのポートを選んだとき、違う種類である確率」を表します。この逆数 \(1/\sum p_i^2\) は「実効種類数」と呼ばれ、実際の種類数(3種類)のうち、実質的に何種類分の多様性を持つかを表します。

今回は片方だけに絞らず、両方で計算して結果に大きなズレがないかを確認することにしました。

Sandbox 据え置きIndexモデル

$$S_{station} = \alpha \left( \frac{E}{V} \times k_1 \right) + (1-\alpha) \left( \frac{E}{C_{price}} \times k_2 \right)$$

– \(E\):実効種類数(シンプソン指数の逆数、\(1/\sum p_i^2\))

– \(V\):体積(cm³)

– \(C_{price}\):価格(円)

– \(\alpha\):デスク省スペース性重視度

– \(k_1 = 10000\) / \(k_2 = 300000\)(読者が見やすいスコアに調整するための係数)

前回の携帯版と違い、重量\(W\)や出力\(P_w\)は式に入れていません。②の告白の通り、生の出力スペックは自分の実利用とズレていると判断したためです。

いざ検証!競合モデルとAnker Nanoのスコアを比較

「ACコンセント+USB複数種類」という同じ設計思想を持つ2機種と比較しました。

製品名ポート構成(AC/C/A) 体積(cm³)価格(円)
Anker Nano 7-in-1 100W3/3/1468.29,990
ELECOM 67W USBタップ3/2/1172.49,966
Anker Prime 6-in-1 140W2/2/2230.414,990

製品名シャノンH(nats)シンプソンD実効種類数E
Anker Nano 7-in-1 100W1.0040.6122.58
ELECOM 67W USBタップ1.0110.6112.57
Anker Prime 6-in-1 140W1.099(理論最大)0.667(理論最大)3.00(理論最大)

シャノン・シンプソンどちらで見ても、3機種の序列はほぼ一致しました(Anker Prime>ELECOM≈Anker Nano)。指標としての頑健性は確認できたと思います。

【Sandbox 据え置きIndexスコア】

製品名α=0.2(コスパ重視)α=0.5(バランス型)α=0.8(省スペース重視)
ELECOM 67W USBタップ91.8113.3134.8
Anker Prime 6-in-1 140W74.195.1116.2
Anker Nano 7-in-1 100W73.066.359.6

自分の指標で、自分の選択が最下位

これまでのCIO製品のときとは違い、今回は主役であるAnker Nanoが、全てのαで最下位という結果になりました。理由は明確で、Anker Nanoは他2機種と多様性(実効種類数)はほぼ同じなのに、体積が2〜2.7倍も大きいためです。

これは偶然ではなく、「モジュール分離主義を初めて崩した話」で触れた巻き取り式ケーブルを2本内蔵するための物理的なスペースが、そのままボリュームとして跳ね返っている結果だと考えられます。つまりこの指標は、「内蔵巻き取りケーブルの利便性」という、指標に組み込んでいない価値を割り引いてしまっているとも言えます。液晶も正面にありますし、サイズが大きくなってしまうのは必然だったでしょう。

正直に言うと、この指標がAnker Nanoに不利な結果を出したこと自体は、②で告白した「生スペックを実は必要としていない」という自分の実感と矛盾しません。むしろ、「効率だけを追い求めるなら、自分の選択はベストではない」ということを指標が正直に教えてくれた、良い検証だったと思っています。

指標に表れない前提条件:コンセントの有無という決定的な差

ただし、この結果をそのまま鵜呑みにするのはフェアではないとも思っています。今回の指標には、体積・価格・多様性しか入れておらず、「コンセントからどれだけ離れた場所に設置できるか」という自由度が抜け落ちています。

ELECOM 67W USBタップは、コンセントに直接挿す銀色のプラグ部分が本体に一体化した「直挿しタイプ」です。つまり、壁のコンセント(またはその近く)にしか設置できません。一方Anker Nano 7-in-1は、約1.5mのケーブルを介してコンセントと本体が離れているため、コンセントから離れた場所、つまりデスクの上に設置できます。

これは自分にとって決定的でした。実はこのAnker Nanoを導入するまで、自分のデスクの上にはコンセントが一つもありませんでした。ELECOMのような直挿しタイプでは、そもそも壁際にしか置けず、デスクの上に電源を持ってくることはできません。Anker Nano 7-in-1は、体積効率でこそ他2機種に負けましたが、「デスクの上に初めてコンセントを作ってくれた製品」という、指標のスコアには表れない価値を持っていました。

つまり結論としては、卓上に元々コンセントがある、あるいは壁際にデスクを置いている人であれば、この比較結果通りELECOMやAnker Prime 6-in-1の方が効率的な選択肢になると思います。一方で、自分のようにデスクから離れた場所にしかコンセントがない人にとっては、多少体積が大きくても、ケーブルで距離を稼げるAnker Nanoの方が現実的な最適解になります。指標の順位と、自分にとっての最適解が一致しないこともある、というのも今回学んだことの一つでした。

まとめ・次回予告

多様性指数を使った「Sandbox 据え置きIndex」で計算した結果、自分が選んだAnker Nano 7-in-1は、体積効率という観点では実は最下位でした。ただし、これはデスクにコンセントを引き込むケーブルの長さという、指標に組み込んでいない要素とのトレードオフによるものです。卓上にすでにコンセントがある方はELECOMやAnker Primeのような直挿しタイプの方が効率的ですが、自分のようにコンセントから離れた場所にデスクがある方には、Anker Nanoのような「ケーブルで距離を稼げる」タイプをおすすめします。指標が全てではなく、自分の設置環境という前提条件込みで判断する必要がある、良い教訓になった一台でした。

次回は、ふと気になって調べてみたACアダプタの進化の歴史について取り扱っていきたいなと思っています。また見てくださいね。

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